サルでもラットでも、もちろん人間でも、ティーンエイジの脳はふつうとちがう。 それは私が思っていた以上に、そして科学者たちが思っていた以上にちがっていた。
ティーンエイジャーの脳は、彼ら自身と同じくらい妙で、いかれていて、ぶっとんでいるのである。 科学者は彼らの脳を探り、さまざまな疑問の答えを見つけようとしている。
なぜティーンエイジャーは朝起きられないのか。 なぜ力まかせにドアを閉め、家に連絡するのを忘れ、無茶な酒の飲みかたをするのか。
なぜ前触れもなく気分が落ちこみ、精神が危うくなる一歩手前まで行ったりするのか。 そうかと思えば、数学の世界にとつぜん目覚めてその美しさを知ったり、ジョークの微妙なおもしろさを理解できるようにもなる。
いったいどうして?神経科学は、こうした問題にやっと取りくみはじめたところだ。 最新の手段と最高の頭脳を結集させて思春期をめぐる最古の疑問、なぜ彼らはああなのか?に答えを見いだそうとしている。
研究者は、次々と判明する事実に胸を躍らせながらも、まだほんの入り口に足を踏みいれただけだということを知っている。 この分野はまだ発展途上であり、研究対象であるティーンエイジャーと同じく、手に負えない部分がある。
変化もめまぐるしく、私も研究成果について調べるときは、論文の日付を確かめるのが癖になった。 「1996年?ちょっと古いわね」というわけだ。

科学者は思春期をとても広い意味でとらえており、私もそれに従っている。 もちろん、生物学的な変化がはっきりと起こる時期もそこに含まれているが、実際には外から確認できない各種の段階を経ている。
思春期は、女の子の胸がふくらみだすずっと前から始まっていて、大学に進む年齢になってもまだ続いている。 脳が発達する時期には、決定的なことが進行している。
科学者がくりかえし強調するように、脳とは地球上で最も相互作用的な器官だ。 こちらがただ観察するだけでも脳は反応するし、問いかけを行なうとさらに活発になる。
いまこの文章を読んでいるあいだにも、あなたの脳は刻々と変化している。 しかし思春期の脳に起こる変化は、もっと根本的だというのが科学者たちの一致した意見だ。
脳が発達していくうえで不可欠という意味では、幼児期に匹敵するくらい重要である。 ティーンエイジャーの脳はすでにできあがっているのではなく、実に複雑で重大な発達を遂げている最中なのだ。

ハイスクールのカフェテリアで、若者がセミオートマチックを乱射した事件を近年よく見聞きするが、問題のあるティーンエイジャーを探ったところで、なぜ彼らがそんなことをするのかという疑問の最終的な解決にはならない。

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